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1月28日開催 株式会社フルキャスト 経営環境の変化をふまえた人事制度改訂

2010年3月4日 [人事プロデューサークラブ運営事務局]


事例研究会 第十回は、株式会社フルキャスト 取締役 管理担当 根矢 透 氏に「経営環境の変化をふまえた人事制度改訂」と題し、お話いただきました。
1990年に設立された同社は、物流や製造、引越といった軽作業分野での短期人材サービスのビジネスモデルを確立し、成長を遂げました。2004年には東証一部に上場。毎日約一万人の人材を企業に提供するようになります。景気の拡大にあわせて順調に拡大してきた同社ですが、2007年・2008年と二度にわたり事業停止命令を受け、コンプライアンス遵守の組織体制を整備するとともに従業員教育にも力を入れるようになったとのこと。また、2009年以降の景況悪化によって、事業の再構築が必要となったことから、全国で最大350あった拠点を統廃合して54拠点(2010年1月現在)とし、組織階層や人員体制の見直しにも取り組まれています。
成長期から変革期への企業ステージの移行にともなう人事戦略の大幅な見直しに、人事の責任者として取り組まれてきた根矢氏に、人事制度改訂の取り組み状況を中心にお話いただきました。

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人事制度改訂は、以下の3つのポイントにもとづいて実施されています。
【ポイント1】賃金は現在の水準を最低保証し、営業利益が計画を上回れば、従業員にさらに還元する
【ポイント2】業務に必要なスキルを明確にすることで、スキルを磨けば給与が上がり、昇格できる仕組みを整える
【ポイント3】必要なスキルを身につけて成長するために、研修や評価の仕組みを整え、社員育成を推進する

「経営陣として最も重視していたのはポイント1です。制度設計上、右肩上がりの業績を前提とした人事制度は、この厳しい経営環境では成り立ちません。成果を出しづらい状況において、まず現在の給与水準を最低保証するという方針を打ち出しました。会社の成長期には拠点がどんどん増えるので、三年目・四年目の社員でも評価が高いと支店長になれましたが、拠点の数が減りポストが限られてくると、評価がどういうふうに処遇に反映されるのか、従業員の見方もシビアになります。そこで昇降格基準を明確化し、スキルを磨けば昇給、昇格につながる仕組みを整えることによって、従業員の成長イメージをつくる必要がありました。同時に、成長のために必要な評価項目と教育体系の見直しを行うことで、社員育成を推進しようと考えました。」
本レポートでは、当日ご説明いただいた新制度の主な改訂内容のうち1・2・5についてレポ―トします。

1.新しい職位グループと若手の教育体系
「どういう人が管理職になれるのかを明確にするため、評価項目の見直しとともに、一般職と管理職の間に『リーダー』というマネジャー候補の層を設定しました。一般職は入社3年半を『ジュニア』、それ以降を『シニア』とし、日々の業務で競い合いながら『リーダー』を目指していただく、という流れです。『ジュニア』の期間は『トレーニングプログラム』という若手の教育期間と連動しています。若手が壁にぶつかるであろう節目のタイミングに研修を実施し、離職抑制にもつなげています。まず入社直後、入社3ヶ月、慣れが出てくる9ヶ月、後輩が入社してきて自立が求められる15ヶ月。さらに、節目の24ヶ月、36ヶ月です。プログラムの内容としては、各タイミングで直面するケーススタディとグループワークが中心です。また、各研修の間にグループで『宿題』に取り組み、研修の時に発表するということもしています。研修には必ず役員が参加し、役員と直接対話できるダイレクトコミュニケーションの場を設けています。直接役員と話す場面をつくることは若手社員の離職率の低減にもつながっていると思います。このトレーニングプログラム修了後は、『シニア』となり、自分の特性を伸ばしながら部下を育て、マネジメントを学んでいきます。シニアの中から優秀者は『リーダー(マネジャー候補)』となり、最短30歳前後でマネジャーとなります。」
今期中には、リーダー研修とマネジャー研修を体系化し、実施していく予定ということです。

2・昇格降格基準の明確化
「会社の成長期はポスト数が増えるので若手でもがんばればどんどん役職に就けましたが、いまはポストが増えないので、どうすれば昇格するのか、の基準作りと同時に、降格の仕組みも必要と考えました。」
通期の評価と連動する昇格・降格基準を設け、業績に対するレビューと役員のアセスメントを経て、原則として上位5%を昇格、下位の5%を降格とする仕組みを導入しています。これにより社員同士の競争を促進する効果もあるといいます。

5.一般職の給与評価制度の見直し
「入社3年間は定期昇給にして、ジュニア層には基礎スキルの習得に注力してもらいます。ボリュームゾーンであるシニア層ではコンピテンシー項目に基づく評価で給与の差をつけるよう設計しています。コンピテンシー評価は給与に反映、業績評価は賞与に反映させています。」
コンピテンシーシートは、日頃から心がけている行動をみて評価の増減がある「行動系」と、一度身につけると基本的にはなくならない積み上げ式の「スキル系」の二種で構成されます。コンピテンシー25項目については評価者研修で内容を確認し、評価委員会を通じて甘辛の目線合わせを行っています。スキル系は、フルキャストで最終的にマネジャーとして働く時に必要な項目を網羅しており、毎年、その1年間のうちに本人が心がけられる最大5項目を上司と話し合い選択し、クリア基準を具体的に定めて評価されることとなります。

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今後の人事制度改訂の見通しについてもお話いただきました。
「まず今期は、日々の業務で各自が与えられた役割を果たすことによって、安定した利益水準を回復する必要がある、という話を制度改訂の説明の中でしています。経営が改善され、賞与支給月数の上積みをして賃金水準を引き上げることができれば、従業員の意識も育成モードに切り替えることができると思います。そのタイミングに合わせて次は育成関連の施策を打っていければと思っています。」
また、事業停止や大規模なリストラを経ても、再生に向けて力強く歩んでいる同社の組織力の源に“フルキャストらしさ”を感じると言います。
「フルキャストの社員の特徴をひとことで表すと『若くて元気で素直』。丁寧にコミュニケーションをとることはたいへん重要で、事業停止のときもリストラクチャリングのときにも直接説明し、思いを伝えることで、前に進むことができたのではないかと思います。残った社員はみんな『自分達がやらなきゃ』と奮起してくれました。本当に社員に助けられているなと感じています。経営環境は厳しいですが、元気で生き生きとした組織と人材をつくるべく、引き続き取り組んでいきたいと思います。」

事例研究会終了後の懇親会にも多数のご参加をいただき、さまざまな情報交換ができました。

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■ 参加者の声
・ 経営環境、業務特性とリンクした仕組みをタイムリーに導入し、運用されている印象を受けました。厳しい環境下でもポジティブに取り組まれている姿が素晴らしいと思います。
・ グループ活動や経営層とのダイレクトコミュニケーション、評価委員会など運用の工夫があり、もっと詳しく聞きたかったです。
・ 長い目で若手を育成していこうという研修プランが大変参考になりました。
再生に向けた強い意志が感じられた。

■ 事務局のつぶやき