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メンタルヘルスケア (1/3)

2009年9月17日 [人事プロデューサークラブ運営事務局]


メディアには『10年間連続で自殺者3万人超!』の見出しが躍り、うつ訴訟で従業員勝訴、メンタル不全の労災認定急増などの報道等を目にしない日はないくらいである。職場におけるメンタルヘルスケアの大切さは各方面から叫ばれている通り国を挙げての急務と思われる。この連載では、企業・団体の人事部門として従業員の心の健康をどう増進させていくか、また、『福利厚生』としてではなく『企業リスクマネジメント』の視点でメンタルヘルスケアを捉えた施策を様々な具体例を交えてお届けしたいと思う。

第1回 日本の企業が直面する現状

■ 人事部門を苦しめるうつ問題

現在、目に見えるメンタル不全の従業員は平均的に総従業員数の1%と言われている。目に見える、とは休職、退職はもちろんのこと、目に見えて勤怠が乱れている人などを含める。つまり『様子がおかしいな。』と周りが気付く程度の人も含んだ数字である。たとえば従業員が1000名いれば約10名の人が何らかの症状を発症し、普通に勤務できない状態ということになる。メンタルヘルスケアという業務に不慣れな人事部門・労務部門が多いため、主治医や産業医、また本人とのやりとりで手間取る。1日で終わらないことも多く、発症者が地方にいれば、出向いて面談ということもあり得る。社内での精神疾患に対する偏見もまだまだ強く、自分の部署から病人が出れば即刻異動させたい、などの申し出があり、その対応に人事部は苦慮する。かといって抜本的な予防体制の構築を、というと予算が取れない、役員の理解が無い、などの声が多く聞かれる。

■ 日本における自殺者の現状

さて、日本での年間自殺者の数をご存じだろうか。約3万人超えが11年間続いている。これは1日に80人以上の人が、どこかで自分の命を絶っているということである。1時間に3.5人以上である。しかし、これに驚いてはいけない。この数字は、発見されて24時間以内に命を絶った人の数であって、未遂はカウントされていないのである。これも入れるとおよそ10倍に膨らむのではないかと国は懸念している。内訳は、無職者が約15000名、サラリーマンが約8000名、自営業者約3700名、主婦約2700名と続いているが、ここで着目したいのは無職者という言葉である。なにもホームレスが自殺しているという意味ではない。もともと働いていたが、何らかの理由で働けなくなり、そのまま自殺した人々が沢山含まれている。何らかの理由の中には、当然メンタル疾患が考えられる。

■ 精神疾患による労災申請の激増と企業リスク

ここ数年、精神疾患による労災の申請が激増している。(平成10年に42件だったものが、平成19年には952件)それに対する認定数もここ5,6年で倍になっている。(平成19年で268件) まず、従業員の希望に従って労災の申請をすると、業務との因果関係を調べに労基署の調査が入る。本人の過去6ヶ月分の労働時間の記録、労働内容についてはもちろんのこと、それに加えて産業医の選任状況、衛生委員会の設置と議事録の確認、健康診断の事後措置、長時間残業者への医師面談記録など様々なものを提出させられる可能性が高い。企業のリスクはここにもある。つまり、一人の労災申請をきっかけに痛くもない腹を探られることがある。
さて、労災が認められるかどうかは個人と国の争いになるが、従業員が会社を相手取って損害賠償請求をしてくるケースが増えている。これは従業員と企業の間の争いとなる。訴訟ともなれば、総務部・人事部のパワーはかなりそちらに割かれることとなり、インターネット掲示板に訴訟の様子でも書かれれば(最近そういった例が多い)自社の従業員は当然のこと、取引先にも知られることとなり、ブランドの失墜は免れない。長年かけて築き上げた信頼が一夜にして奪われることもある。結果として賠償金を支払うこととなれば、大切な利益の中から支払うこととなり損失を出す。この一連のリスクを認識したうえで、企業は包括的なメンタルヘルスケア体制の構築を考えるべきであろう。

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(文) 株式会社プラネット・コンサルティング 代表取締役 根岸勢津子

<略歴>

高校卒業後、秘書養成の専門学校で英会話とタイピングを学ぶ。外資系海運会社営業部長秘書、IT企業社長秘書を経て営業職に転じ、法人向けパソコン研修の企画販売、コンサルティング営業に従事。その後、大手損害保険代理店に転職。

企 業リスクマネジメントを学ぶ中で、産業界にヒューマンエラーによる不祥事や事故が急増してきたのを受け、EAPサービスの販売を手掛ける。その後、企業向 けメンタルヘルスケア全般のコンサルティングを主力に法人化。人事向け定期購読誌等への寄稿、各種団体での講演など多数。

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