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採用担当と給与担当

2010年3月2日 [人事プロデューサークラブ運営事務局]


採用・配置は、可能性を見つける仕事。給与は、確実に間違いなく行う仕事。
この両者は基本的に仕事に対する価値観が違う場合が多い。
同じ人事部門の中に求められるアウトプットが大きく異なる要素が共存している。

採用担当と給与担当は、多くの場合、最初は相容れない。
価値観や目指すものが違っているのだから当然と言えば当然だ。
採用の仕事は、可能性さえあえれば動かなければならない。
いい人に巡り合うためには、そうじゃない人にも会わなければならない。
確率が低ければ量を求める必要がある。僕の経験上、一人の採用を
決めるために何倍・何十倍の人と会う。
そして採用を決めた人の成功確率はだいたい9割だったけど、
1割のエラーはどんなに経験を積んでもこれ以上は減らなかった。
8割は採用基準に照らして問題ない採用を行えるが、
2割は「ひょっとしたら・・・」という「化ける可能性」に賭ける判断になる。
2割のうち半分は化けてくれたり、無難な線に落ち着いたりするけど、
残りはやっぱりうまくいかない。その1割が人事としてはものすごく
パワーがかかってしまう事象を招いたりする。
でも2割の賭けがなくてはだめだと思う。無難な採用だけでまとめていたら、
時代の変化、会社のステージの変化に適応していけないと思っている。
とにかく、採用は8割から9割の成功率という「可能性を追い求める」。
給与は、一人の給与たりとも間違ってはならない。給与や年末調整の
チェックを何百何千と行ってきたが、何件かのミスや情報の行き違い
による間違いがあったりする。それではダメである。
この両者の職務の性格の違いはお互いのストレスとなる。

特に確実性を求める給与担当は得てして採用側にはストレスを覚える。
入社の確定、退職の確定、異動の確定などがあやふやだと、
給与計算には多大な問題が起こるからだ。

人事部門に異動や採用になって、採用担当から行う方々は、
まずはこのベースを認識していただきたい。給与は最終工程である。
間違いが許されないストレスを想像してみてほしい。前を向いて
採用の仕事をしている間においても、後ろで支えてくれるであろう
給与側の業務、特にその締めなどの業務の流れを理解しようとしてほしい。
給与担当は、理解が得られれば、社員の個別情報をつかみやすいので
採用担当のとてもいい味方にもなってくれる。
退職・休職情報、結婚・出産などの情報をいち早く得られるポジション
だからだ。そのような情報をいち早くつかめれば、
採用や配置の活動に反映しやすい。

人事部門内、この価値観、職務の性格の違いをぜひご理解いただき、
仲良く楽しい職場にしていただきたいものである。そしてできたら相互に
ローテーションを行ったらよいと思う。人事のキャリアとしても両方行った
経験値は価値があるから。

(文) 人事の学校 主任講師 西尾 太

秀吉

2010年1月25日 [人事プロデューサークラブ運営事務局]


僕は戦国時代が好きで、その中でも織田信長が一番好きである。
「本能寺の変」さえなかったら・・・といつも思う。

それはそれとして、成長企業の人事担当は、
「織田信長に仕えていたころの秀吉」
がいいと思う。(太閤秀吉のころの秀吉ではない。)
秀吉は殴られても蹴られても、「サル」と呼ばれてもけろっとしていたそうである。
失敗したものは、「ありゃごめんなさい」と言って、それでもって裏では
しっかり仕事をしていた。
仕事が気に入らないと、戦場をほっぽらかして自分の城に戻って、
どんちゃん騒ぎをした。
(これは、仕事は気に入らなかったけど、謀反は起こしませんよ、っていう
信長へのサインだそうだ。)

社長がおっしゃることをできる限り実現していくのが人事担当の本分だ。
だからしっかりやらなければいけないのだが、10言われて10やるのは難しい。

経営は振れる。あたりまえである。
僕ら以上に会社のことをいつも考えているのが社長だ。
入ってくる情報も多彩だし、視点も視野も広い。
だけど、人事がそれでいちいち振れていては、社員はたまらない。
社長に言われたことは決して忘れないけど、
忘れたふりをしなければならない時がある。
そのまま「わかりました!」ってやっていい時と、そうじゃない時がある。
そうじゃない時は、2度、3度言われて「あ、これは思いつきじゃなくて本気だ」
と思うまで、「うっかり」しておくことだ。当然、叱られるだろうけど、そういう時は
「ありゃごめんなさい」って素直にひたすら謝ろう。ただ、その背景には
人事ポリシー」がなければならない。「会社の社員に対する考え方」が
人事ポリシーだが、そこを社長としっかり握っておかなければならない。
秀吉だって信長の理想や目指す姿に共感して、根本的なところは理解していた
からできたことだ。どこまで理解できるかはわからないが、社員に対して
どう考えるか、については折に触れて社長と語っておかなければならない。

方法論ではなく本質の会話をしておくこと。
これがないとほんとは人事なんてできない。
そのうえで、「ありゃごめんなさい」。
でも、10言われたら5ぐらいはすぐにしっかり実行しとかないと、
社長にストレスがたまってクビになるかも。それから、「忘れたふり」と「忘れた」は
ぜんぜん違うので、「忘れてないけど忘れたふりをする」こと。
ちょっと高等技術かな。

(人事ポリシーの作り方は、人事の学校でどうぞ。)

(文) 人事の学校 主任講師 西尾 太

月曜日の朝と金曜日の夜

2009年10月21日 [人事プロデューサークラブ運営事務局]


いつも聞くけど、みなさんは月曜の朝と金曜の夜、どちらが楽しいでしょう。
当然「月曜の朝!」ですよね!・・・・。

「仕事はつらい」その前提で仕事に向かうと、ほんとに仕事はつらい。
でも別のところに仕事の意義や目的を持つと、仕事はつらいばっかりではない。
「男はつらいよ」といいながら、寅さんは楽しいことが多かったはずだ。

人事の仕事は、社員が「月曜が待ち遠しくなる」ようにしていくことだと思う。
金曜の夜に「あーあ、明日休みだ、つまんないなあ」と思わせたら、
人事の大勝利だ! かなりハードルは高いけど、それだけの意義はあるだろう。

業績がよくない部門の社員は、仕事は単に「会社だから仕事しなきゃいけない」
と思っている傾向がある。
「なんで仕事しなきゃいけないのか」に対する問いかけが甘い。
仕事って何か。モチベーションの研究などいろいろ為されているけど、
結局のところ、仕事をして「誰かの役に立っている」と実感する、
「お客様」や人事だったら社員から、「ありがとう」って言ってもらえたら嬉しい。
それがたくさんあったら、仕事が楽しくなる。それが仕事の本質だと思う。

会社の理念があるはずだ。
理念の実現の究極は「社会をよくする」というところに行きつくはずである。
お金儲けってのは、「ありがとう」がたくさんあるから売上と利益が
生み出されるってことだ。お金儲けが目的ではなくて、
「ありがとう」がいっぱいあることが目的だ。今までお仕えした経営者も
本気でそう思っていたと思う。
ところが我々は毎日目の前のことに忙殺されるとそれを見失ってしまう。
そこをもう一度見つけ出してもらうのが、人事の仕事だ。
だから「なんで仕事してんの?」ということを人事の僕たちがまず自問自答して、
答えを出しておかなければならない。自分に嘘をついたっていいから
「○○のために仕事をしているんだ」の○○を見つけて自分の心に刻み込んでほしい。
それを社員に語る。月曜が待ち遠しくなるように話し続けることだ。

これはきっと、福利厚生を充実させるとか、労働時間を短縮しようとか、
そういうこととは次元が違うことのような気がする。
もちろん楽しく仕事をすることを阻害する要因は減らしていかなければならない。
つらいだけの仕事は減らさなければならない。そういう労働時間は減らすべきだ。
子供がいる社員には、子供と一緒にいる時間を作るように環境整備も必要だ。
でもその目的は、「楽しくない仕事を減らす」ことではあるけど、
「月曜が待ち遠しい」状態を作っていくこととは矛盾しないと思う。
これを語らずに「労働条件」とかだけを考えるのは、明らかに偏っていると思う。

そう、「人事はつらいよ」といいながら、つらいことばっかりじゃないですよね。

(文) 人事の学校 主任講師 西尾 太

人事の秘密

2009年9月17日 [人事プロデューサークラブ運営事務局]


人事部門は、何かと秘密をもっている部門である。秘密というより機密ではあるが、
経営の情報、社員の個人情報、給与情報などである。
また、必要でない聞きたくもない情報ももたらされる。
ある部長には、「人事部員は他部門の社員と飲むな」と言われた。
飲みに行って他部門の社員に秘密をしゃべったりしたらまずかろうということだそうだ。

一方で、社員のことをよく知れ、とも言うのだから難しい注文だ。
それでも会社が成長してくると、給与情報は人事が計算して経理に支払いを
お願いするのだから、人事部門だけにその情報をとどめておくことはできない。
また誰がいくらもらっているかを知らなければ評価の調整や給与決定が
できないのであるから、給与担当だけが給与情報を知っていればいい
というものでもない。
人事部員それぞれが別々に秘密を握っていてもそれはそれで問題だ。
要は情報管理である。自分しか知らない秘密もつらい。
そこで、「人事部門内に秘密なし」ということにして、人事部のミーティングでは
ほとんどすべての情報をオープンにした。人事部門内にはすべての情報が
共有される。そして人事部外には原則口外禁止とする。
また、絶対に出してはいけない情報と出せる情報の区分けをする。
例えば給与情報については、社員相互が知らないかと言えば実態はそうではなく、
お互い教えあったりしているわけである。等級についても公表し、
意味のない秘密主義はやめてしまう。
人事部門内に秘密なし、については人事部員の精神衛生上もいいようだ。
自分一人でかかえなくてもいいというのは、実はとても心強いことだ。
これが逆に部門外への守秘の徹底にもつながる。
外で余計なことを話す精神的ストレスはないからだ。
とはいえ、部外で話していいことと話してはいけないことの区別ができる
人材でないと人事は務まらない。その見極めは簡単ではないが、
それでも人事部員を信じて部内ですべてをオープンにしておくと、
信じてもらえている思いからか、外に情報が漏れることはまずなかった。
「赤心を推して人の腹中に置く」ことができたら人事部門も社内もうまくいきそうだ。
ただし「人事部員は社内恋愛禁止!」ですよ。

(文) 人事の学校 主任講師 西尾 太

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