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人材育成とeラーニングの関係 (3/3)

2009年11月17日 [人事プロデューサークラブ運営事務局]


今回は、「eラーニングの始め方」について。

eラーニングを始めるには、次の3つの要素が必要になります。


[要素1] システム

受講履歴の蓄積、どのコースを誰に受講させるかの管理、管理業務の効率化などに使います。履歴の管理が必要なければ、企業内のイントラネットでもOKです。

[要素2] コンテンツ(コース)

目的に応じたデザイン、見せ方、内容が必要になります。テスト(試験)と教材の2タイプがあります。

[要素3] 運用

受講の案内や、履歴の管理をします。「目的」を成功させるためには、絶対不可欠の要素であり、人のパワーが必要な部分です。システムをうまく使うことで、負荷を軽減・削減できます。

ここで、前回までのコラムを思い出してください。eラーニング成功のためには、「目的」を定め、受講生の「やる気」を引き出す必要があることをお話してきました。「目的」とは「何をやるのか」を明確にし、その「成功」が何なのかを定めることです。

それらの観点にも注目しながら、次の3つのパターンにおける

「eラーニングの始め方」をご確認ください。

1. リスクヘッジとしてのeラーニング

情報漏えい対策、セキュリティ教育等、リスク回避のためにeラーングを取り入れる場合は、当然、社員全員の受講が必須となります。すると、その施策に対しての「成功」は「受講率」が考えられます。

システム ・・・ 受講履歴の管理ができて、未受講者にメールができる仕組みがまず必要です。

コンテンツ ・・・ 全員の理解度を測るため、試験が必要です。全員が合格するまで行います。試験だけでなく、リスクヘッジに関する基本知識の習得と、社員個々の意識変革を促すコンテンツも必要です。

運用 ・・・ 必ず必要です。まずは実施していることを認知させる必要があります。また、受講しない人向けのペナルティを作成します。一例ですが、直属の上司から注意させるようなフローも効果的でしょう。

2.福利厚生としてのeラーニング

このケースでは、個々人の受講率よりも、福利厚生としての告知、公開をすることに目的があります。つまり、できるだけコストをかけずにスタートすることが成功の鍵になります。

システム ・・・ イントラネットへの搭載も一案ですが、ASPなど、外部の安いシステムを使うことも検討できます。

コンテンツ ・・・ パッケージのコースの場合、1人あたり3,000円~程度と言う金額感です。

運用 ・・・ 社員への告知が必要です。社員が簡単に申し込めるような仕組みも用意する必要があります。

3. 人材育成としてのeラーニング

人材育成では、何を「目的」に定めるかが非常に難しくなります。普通の研修やセミナーの場合を想像してください。その目的は、「研修の内容を、実際の業務に活かす」ことのはずなのに、受講者のアンケート結果に注目が集まりがちです。eラーニングでも、育成の場合は何をもって成功とするかは慎重に考えなければなりません。

1つ申し上げるなら――受講率100%を追い求めるのは危険です。無理矢理にでも受講させることばかりに躍起になって、そもそもの目的を見失う恐れがあるのです。

システム ・・・ 必要な人にコースを公開できる仕組みと履歴管理、できれば、メールマガジン等で、受講を支援できる仕組みが欲しいです。研修との組み合わせの場合は、研修も管理できる仕組みがあると良いでしょう。人材育成全般を管理することができるようになります。

コンテンツ ・・・ 興味を持ってもらえて、かつ、効率的に学習できる内容、見せ方になっていることが重要です。

運用 ・・・ 1人での学習を、フォローしてあげる必要があります。メールマガジン、修了者の表彰、未受講者へのエール等々、とにかく応援体制を作ることが大事になります。

【最後に】

これまで3回にわたり、eラーニングについてお話をしてまいりました。私はよく、研修とeラーニングの違いについて質問を受けることがありますが、「どちらも要はツールです」と答えることにしています。ツールは目的をはっきりさせなければ成功しませんし、使いこなすためにはツールごとの特色を理解しておく必要があります。

研修とeラーニングとでは、得意分野はだいぶ違います。意識の変革という意味では、やはりFace to Faceの研修に勝るものはありません。一方で、知識を習得させるだけなら、わざわざ全員を集めて講義する必要もないでしょう。そこで、最近では研修とeラーニングの組み合わせが多くなってきているわけです。研修を受けてからeラーニングを受講すれば、高いモチベーションと、一定の理解度を持った状態で学習に取り組めるのですから、明らかに効果的です。

皆様も、効果的なeラーニングを自社に取り入れてください。もちろん、分からないことはぜひ私にご相談を。お声がけ頂けるのを、いつもお待ちしています。一緒に考え、解決していきましょう!

お問い合わせ・ご意見は人事プロデューサークラブ事務局まで

(文) 株式会社ITBee 代表取締役 武藤芳樹

<略歴>
1999年 4月 (株)リクルート入社
個人向けeラーニングサービス「ネットカレッジ」の立ち上げ、IT系コースのディレクション、大学の授業を高校生に体験させる「ネットで体験授業」のディレクション、法人向け「ネットカレッジ」を担当。 他に「進学ネット」、「AB-ROAD」のWeb系商品企画を担当。
2007年 9月 (株)リクルート退社
2007年10月 (株)ITBee設立 代表取締役就任

人材育成とeラーニングの関係 (2/3)

2009年10月21日 [人事プロデューサークラブ運営事務局]


株式会社ITBeeの武藤です。今回は、eラーニングのメリット、デメリットをお話しいたします。


◆eラーニングのメリット

・場所、時間を選ばずに学習することが可能

・学習履歴のデータ化、蓄積が可能



◆eラーニングのデメリット

・パソコン(もしくはケータイ)がないと学習できない

・パソコンの画面分しか表示領域がない


簡単にまとめますと、上の通りです。ここまでは、ご納得いただけるかと思います。

ところが、実はメリットの中に「落とし穴」があります。

実は、「場所、時間を選ばずに学習することが可能」ということが、逆にデメリットになる危険性があるのです。皆さんも、買ったはいいけれどほとんど読んでいないビジネス書や教材を、お持ちではありませんか? 「いつでもできるものは、いつまでもたっても手をつけない」という、人の悲しい性があるのです。

これらのメリット・デメリットを把握しないまま、「とりあえず」eラーニングを導入すればどうなるか。ここで、実際の失敗例をご覧ください。


(失敗例1)

IT系企業のC社は、各階層別にキャリアパスと教育プログラムを設定。管理、分析のために社員に研修結果の報告やテストの実施をeラーニングシステム上で実施することを義務付け。利用率30%と伸び悩み。


(失敗例2)

人材系企業のM社は、情報セキュリティ周りのリスクを軽減させるためにeラーニングを導入。関連法律やセキュリティ対策のeラーニングテストを毎月実施。社長自ら受講していない人にメールを送付、受講率99%。


失敗例1は、管理側の意図と、現場の意識がずれたために利用率が伸びませんでした。特にこのケースの場合は、現場のマネージャーと人事間の意識のズレがあり、現場の協力を得ることができませんでした。

それに比べると、失敗例2は一見成功しているように見えます。しかし、社長自ら動かなければならない運用体制が問題です。いずれ破綻してしまう危険性が付きまといます。(実際、長続きしませんでした)

では、失敗例を反面教師にして、成功に繋がる要素を探ってみましょう。「なぜ、この学習をやらなければならないか」、目的を現場に理解してもらうのが第一です。第二が、社員をやる気にさせる、モチベーションマネジメント。第三が、上記を達成するための運用パワーの確保となります。

論より証拠。今度は成功事例をご覧ください。


(成功例1)

金融企業S社は、マネージャー昇格研修の一部をeラーニング化。研修受講前にeラーニング+テストに合格しないと研修参加できない運用とし、未受講の人にメールや電話で督促する運用設計を行った。修了率100%


(成功例2)

メーカーN社は、新製品情報を全てeラーニング化。営業やショールームスタッフにeラーニングで情報を提供。ショールームのスタッフは受講率がほぼ100%に。営業も担当製品に限れば、ほぼ100%の受講率。

まずは、本人がどれだけ目的を理解し、どれだけ「やる気」になれるかが重要なのです。それが、効果にも大きな差を生みます。


どうやって「やる気」にさせるかは、上の成功例からも明らかなように――

[1] 業務との関連性を示し、意義を理解させる。

[2] 自分に必要であることを強く認識させる。

[3] 受講者が安心して学習できる「環境」を整える


この点では、「成功するeラーニング」とは、「成功する研修」の考え方とそう変わらないと言えるでしょう。結局、学習に一番大事なのは「やる気」なのですから。

さて、次回は「目的に応じた、eラーニングのはじめ方」をご説明しましょう。eラーニング導入に必要なもの、成功させるためのパワーとコストについて、お話しさせていただきます。


お問い合わせ・ご意見は人事プロデューサークラブ事務局まで

(文) 株式会社ITBee 代表取締役 武藤芳樹

<略歴>
1999年 4月 (株)リクルート入社
個人向けeラーニングサービス「ネットカレッジ」の立ち上げ、IT系コースのディレクション、大学の授業を高校生に体験させる「ネットで体験授業」のディレクション、法人向け「ネットカレッジ」を担当。 他に「進学ネット」、「AB-ROAD」のWeb系商品企画を担当。
2007年 9月 (株)リクルート退社
2007年10月 (株)ITBee設立 代表取締役就任

人材育成とeラーニングの関係 (1/3)

2009年9月15日 [人事プロデューサークラブ運営事務局]


人事プロデューサクラブ会員の皆様、こんにちは。
株式会社ITBeeの武藤と申します。
これから全3回にわたって、「eラーニング」をご紹介して参ります。

さて、eラーニングと聞いて、どのようなものを想像されますか?

「人事の学校」ではナレッジ系の教育手法として、また、福利厚生やカフェテリアプランの一手段として紹介されていました。これをさらに分類すると、ほぼ5つに分けられます。

(1)福利厚生のツールとして
多数のコースを用意し、社員が自発的に自身のスキルアップを目指すツールとして利用する方法です。最近は派遣社員への展開も多く見られます。

(2)必要な知識・スキルを身につけさせるため
IT系ではJavaやデータベースなど、基礎的なスキルをつけるための手段として活用されています。また、紙のマニュアルをeラーニング化するケースも多数あります。た とえばコールセンターや、飲食店の接客マニュアル、飛行機の整備マニュアル等がそ うです。(アメリカ軍では、兵器等のマニュアルもeラーニング化され、話題になり ました)

(3)業務の効率化
報告義務が課せられていたり、教育の実績を残さなければならない業務を、eラーニ ングで代替するケースが増えています。プライバシーマークやコンプライアンス、 ISO等がそうです。手作業・手集計よりも早く、確実に実行できるため、大手企業の 大半が導入しています。

(4)研修のフォローや補完として
研修効果の定着、研修の質の向上を目指して、ここ最近、研修とeラーニングを組み 合わせる事例が増えています。研修内容の一部を「事前学習」としてeラーニングに 置き換える、研修後のフォローをeラーニングで行ってOJTと連動させる、などが代表例です。

(5)人材マネジメントとの連動
人材情報にスキルや資格情報を入れ、eラーニングと組み合わせます。大手企業では、 このような「情報の見える化」を図るケースが増えてきています。さらに人材配置や評価とも組み合わされるようになってきました。

実はこの5つ、日本におけるeラーニングの「使われ方の歴史」でもあります。当初
はただコースを並べるだけだったものが、近年ようやく「人材育成」のツールとして
の地位を確立しつつあるわけです。

一方で、お気づきのように5つとも「目的」が大きく異なります。eラーニングは、
目的をはっきり定めないまま導入を進めれば失敗します。
そこで次回、第2回は「eラーニングのメリット・デメリット」をお話します。様々な成功事例、失敗事例をご紹介し、eラーニングとの正しい付き合い方をお話します。

お問い合わせ・ご意見は人事プロデューサークラブ事務局まで

(文) 株式会社ITBee 代表取締役 武藤芳樹

<略歴>
1999年 4月 (株)リクルート入社
個人向けeラーニングサービス「ネットカレッジ」の立ち上げ、IT系コースのディレクション、大学の授業を高校生に体験させる「ネットで体験授業」のディレクション、法人向け「ネットカレッジ」を担当。 他に「進学ネット」、「AB-ROAD」のWeb系商品企画を担当。
2007年 9月 (株)リクルート退社
2007年10月 (株)ITBee設立 代表取締役就任

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