人事部門は、何かと秘密をもっている部門である。秘密というより機密ではあるが、
経営の情報、社員の個人情報、給与情報などである。
また、必要でない聞きたくもない情報ももたらされる。
ある部長には、「人事部員は他部門の社員と飲むな」と言われた。
飲みに行って他部門の社員に秘密をしゃべったりしたらまずかろうということだそうだ。
一方で、社員のことをよく知れ、とも言うのだから難しい注文だ。
それでも会社が成長してくると、給与情報は人事が計算して経理に支払いを
お願いするのだから、人事部門だけにその情報をとどめておくことはできない。
また誰がいくらもらっているかを知らなければ評価の調整や給与決定が
できないのであるから、給与担当だけが給与情報を知っていればいい
というものでもない。
人事部員それぞれが別々に秘密を握っていてもそれはそれで問題だ。
要は情報管理である。自分しか知らない秘密もつらい。
そこで、「人事部門内に秘密なし」ということにして、人事部のミーティングでは
ほとんどすべての情報をオープンにした。人事部門内にはすべての情報が
共有される。そして人事部外には原則口外禁止とする。
また、絶対に出してはいけない情報と出せる情報の区分けをする。
例えば給与情報については、社員相互が知らないかと言えば実態はそうではなく、
お互い教えあったりしているわけである。等級についても公表し、
意味のない秘密主義はやめてしまう。
人事部門内に秘密なし、については人事部員の精神衛生上もいいようだ。
自分一人でかかえなくてもいいというのは、実はとても心強いことだ。
これが逆に部門外への守秘の徹底にもつながる。
外で余計なことを話す精神的ストレスはないからだ。
とはいえ、部外で話していいことと話してはいけないことの区別ができる
人材でないと人事は務まらない。その見極めは簡単ではないが、
それでも人事部員を信じて部内ですべてをオープンにしておくと、
信じてもらえている思いからか、外に情報が漏れることはまずなかった。
「赤心を推して人の腹中に置く」ことができたら人事部門も社内もうまくいきそうだ。
ただし「人事部員は社内恋愛禁止!」ですよ。
(文) 人事の学校 主任講師 西尾 太
メディアには『10年間連続で自殺者3万人超!』の見出しが躍り、うつ訴訟で従業員勝訴、メンタル不全の労災認定急増などの報道等を目にしない日はないくらいである。職場におけるメンタルヘルスケアの大切さは各方面から叫ばれている通り国を挙げての急務と思われる。この連載では、企業・団体の人事部門として従業員の心の健康をどう増進させていくか、また、『福利厚生』としてではなく『企業リスクマネジメント』の視点でメンタルヘルスケアを捉えた施策を様々な具体例を交えてお届けしたいと思う。
第1回 日本の企業が直面する現状
■ 人事部門を苦しめるうつ問題
現在、目に見えるメンタル不全の従業員は平均的に総従業員数の1%と言われている。目に見える、とは休職、退職はもちろんのこと、目に見えて勤怠が乱れている人などを含める。つまり『様子がおかしいな。』と周りが気付く程度の人も含んだ数字である。たとえば従業員が1000名いれば約10名の人が何らかの症状を発症し、普通に勤務できない状態ということになる。メンタルヘルスケアという業務に不慣れな人事部門・労務部門が多いため、主治医や産業医、また本人とのやりとりで手間取る。1日で終わらないことも多く、発症者が地方にいれば、出向いて面談ということもあり得る。社内での精神疾患に対する偏見もまだまだ強く、自分の部署から病人が出れば即刻異動させたい、などの申し出があり、その対応に人事部は苦慮する。かといって抜本的な予防体制の構築を、というと予算が取れない、役員の理解が無い、などの声が多く聞かれる。
■ 日本における自殺者の現状
さて、日本での年間自殺者の数をご存じだろうか。約3万人超えが11年間続いている。これは1日に80人以上の人が、どこかで自分の命を絶っているということである。1時間に3.5人以上である。しかし、これに驚いてはいけない。この数字は、発見されて24時間以内に命を絶った人の数であって、未遂はカウントされていないのである。これも入れるとおよそ10倍に膨らむのではないかと国は懸念している。内訳は、無職者が約15000名、サラリーマンが約8000名、自営業者約3700名、主婦約2700名と続いているが、ここで着目したいのは無職者という言葉である。なにもホームレスが自殺しているという意味ではない。もともと働いていたが、何らかの理由で働けなくなり、そのまま自殺した人々が沢山含まれている。何らかの理由の中には、当然メンタル疾患が考えられる。
■ 精神疾患による労災申請の激増と企業リスク
ここ数年、精神疾患による労災の申請が激増している。(平成10年に42件だったものが、平成19年には952件)それに対する認定数もここ5,6年で倍になっている。(平成19年で268件) まず、従業員の希望に従って労災の申請をすると、業務との因果関係を調べに労基署の調査が入る。本人の過去6ヶ月分の労働時間の記録、労働内容についてはもちろんのこと、それに加えて産業医の選任状況、衛生委員会の設置と議事録の確認、健康診断の事後措置、長時間残業者への医師面談記録など様々なものを提出させられる可能性が高い。企業のリスクはここにもある。つまり、一人の労災申請をきっかけに痛くもない腹を探られることがある。
さて、労災が認められるかどうかは個人と国の争いになるが、従業員が会社を相手取って損害賠償請求をしてくるケースが増えている。これは従業員と企業の間の争いとなる。訴訟ともなれば、総務部・人事部のパワーはかなりそちらに割かれることとなり、インターネット掲示板に訴訟の様子でも書かれれば(最近そういった例が多い)自社の従業員は当然のこと、取引先にも知られることとなり、ブランドの失墜は免れない。長年かけて築き上げた信頼が一夜にして奪われることもある。結果として賠償金を支払うこととなれば、大切な利益の中から支払うこととなり損失を出す。この一連のリスクを認識したうえで、企業は包括的なメンタルヘルスケア体制の構築を考えるべきであろう。
( 1 ・ 2 ・ 3 )
(文) 株式会社プラネット・コンサルティング 代表取締役 根岸勢津子
<略歴>
高校卒業後、秘書養成の専門学校で英会話とタイピングを学ぶ。外資系海運会社営業部長秘書、IT企業社長秘書を経て営業職に転じ、法人向けパソコン研修の企画販売、コンサルティング営業に従事。その後、大手損害保険代理店に転職。
企 業リスクマネジメントを学ぶ中で、産業界にヒューマンエラーによる不祥事や事故が急増してきたのを受け、EAPサービスの販売を手掛ける。その後、企業向 けメンタルヘルスケア全般のコンサルティングを主力に法人化。人事向け定期購読誌等への寄稿、各種団体での講演など多数。
人事プロデューサクラブ会員の皆様、こんにちは。
株式会社ITBeeの武藤と申します。
これから全3回にわたって、「eラーニング」をご紹介して参ります。
さて、eラーニングと聞いて、どのようなものを想像されますか?
「人事の学校」ではナレッジ系の教育手法として、また、福利厚生やカフェテリアプランの一手段として紹介されていました。これをさらに分類すると、ほぼ5つに分けられます。
(1)福利厚生のツールとして
多数のコースを用意し、社員が自発的に自身のスキルアップを目指すツールとして利用する方法です。最近は派遣社員への展開も多く見られます。
(2)必要な知識・スキルを身につけさせるため
IT系ではJavaやデータベースなど、基礎的なスキルをつけるための手段として活用されています。また、紙のマニュアルをeラーニング化するケースも多数あります。た とえばコールセンターや、飲食店の接客マニュアル、飛行機の整備マニュアル等がそ うです。(アメリカ軍では、兵器等のマニュアルもeラーニング化され、話題になり ました)
(3)業務の効率化
報告義務が課せられていたり、教育の実績を残さなければならない業務を、eラーニ ングで代替するケースが増えています。プライバシーマークやコンプライアンス、 ISO等がそうです。手作業・手集計よりも早く、確実に実行できるため、大手企業の 大半が導入しています。
(4)研修のフォローや補完として
研修効果の定着、研修の質の向上を目指して、ここ最近、研修とeラーニングを組み 合わせる事例が増えています。研修内容の一部を「事前学習」としてeラーニングに 置き換える、研修後のフォローをeラーニングで行ってOJTと連動させる、などが代表例です。
(5)人材マネジメントとの連動
人材情報にスキルや資格情報を入れ、eラーニングと組み合わせます。大手企業では、 このような「情報の見える化」を図るケースが増えてきています。さらに人材配置や評価とも組み合わされるようになってきました。
実はこの5つ、日本におけるeラーニングの「使われ方の歴史」でもあります。当初
はただコースを並べるだけだったものが、近年ようやく「人材育成」のツールとして
の地位を確立しつつあるわけです。
一方で、お気づきのように5つとも「目的」が大きく異なります。eラーニングは、
目的をはっきり定めないまま導入を進めれば失敗します。
そこで次回、第2回は「eラーニングのメリット・デメリット」をお話します。様々な成功事例、失敗事例をご紹介し、eラーニングとの正しい付き合い方をお話します。
(文) 株式会社ITBee 代表取締役 武藤芳樹
<略歴>
1999年 4月 (株)リクルート入社
個人向けeラーニングサービス「ネットカレッジ」の立ち上げ、IT系コースのディレクション、大学の授業を高校生に体験させる「ネットで体験授業」のディレクション、法人向け「ネットカレッジ」を担当。 他に「進学ネット」、「AB-ROAD」のWeb系商品企画を担当。
2007年 9月 (株)リクルート退社
2007年10月 (株)ITBee設立 代表取締役就任
2009年9月9日開催 経営変革の敵は内部に存在する~強い経営を実現する組織作り~
2009年9月10日 [人事プロデューサークラブ運営事務局]
応用講座 第一回
「経営変革の敵は内部に存在する~強い経営を実現する組織作り~」
を開催いたしました。




≪ 内容 ≫
長く続く不況期をいかに突破するか。外部の敵と戦う前に、実は組織内部に構造的な欠陥が数多く潜んでいることを指摘し、人事戦略立案の前提となる事業戦略を実現する組織構築、仕組みづくり、マネジメントの在り方を人事担当者として考えるべき視点で説明いたします。
日時:2009年9月9日(水)
講義 16:30-18:00 / 質疑応答 18:00-18:30
講師プロフィール:
北海道小樽出身。1985年 株式会社リクルート入社、教育機関広報事業部、全国トップ営業マン常連、90年課長昇進、91年度全社通期優秀経営者賞受賞。 1993年 人材総合サービス事業部新都心営業部へ異動、96年度全社通期優秀経営者賞受賞。 1998年 リクルートエリアリンク西東京支社へ出向、99年リクルート営業部長昇進、西東京支社 支社長兼務。 2000年 株式会社ブレインパートナー設立(企業再建、組織変革、営業強化、人材育成)代表取締役。 2002年 株式会社ヒューマン・キャピタル・マネジメント共同設立(ベンチャー育成、経営者養成コンサルティング)取締役。 2006年3月 かんき出版より「30歳からの営業力の鍛え方」発刊。 2006年 HARNESS LLP設立参加、理事
■参加者の声
・構造、しくみの重要性をあらためて認識しました。人を育てるのも人を動かすのも、しくみだと実感しました。
・複雑な事象をシンプルな言葉で明確に分解したいただいたと感じます。ご自身の経験とフレームワークを融合させた話には非常に説得力を感じました。
・非常に参考になりました。本日の内容は、自社の組織・評価制度などを見直す(疑問を持つ)良い機会になりました。
・組織作り、評価、人事 等々、今抱えている問題とリンクしていたので考えさせられました。
2009年8月27日開催 テクモ株式会社「人事部門のコンプライアンス ~通常業務に潜む違反行為~」
2009年9月9日 [人事プロデューサークラブ運営事務局]
事例研究会 第五回は、「人事部門のコンプライアンス ~通常業務に潜む違反行為~」と題し、テクモ株式会社 人事部 課長 早柏 惠庸 氏にご発表いただきました。
「人事担当者にとってコンプライアンスとは、正いことを正しい通りやるということではありません。正しいことを理解した上で、人・組織・企業の成長に合わせ、どのレベルで運用していくべきなのかについて考えることです。違法と認識して運用するのは当然NGですが、グレーゾーンで運用について社員や労基署から問われたとき、法律をどう解釈しているのかを論理的に答えられることが大切です。」
と早柏氏は言います。
大手スーパー、マスコミ、外資、ベンチャーと複数の企業で二十年以上にわたり人事として積まれてきたご経験のなかから、今回お話いただいた10個のトピックスのうち4個について、レポートします。
(1) 従業員代表の選出方法
従業員代表は本来、投票や挙手により、案件ごとに目的を開示して選出すべきとされています。しかしある企業で、会社側で従業員代表を指名し、裁量労働制の労使協定を締結したことがあったそうです。従業員代表が誰であるかすら開示されていなかったことから、従業員側は「協定は無効であり、裁量労働制により支払われなかった残業代を支払うべき」と主張したそうです。結局、企業側は非を認め、過去の二年間のタイムカードをさかのぼって調べ残業代を支払わなくてはならなりました。
「従業員代表とは何か、役割をきちんと説明すれば、社員も協力的になり立候補者もでるし、投票にも来てくれます。また、『立候補者がいない場合は、会社が適任者を指名し、その者を立候補者とします』『棄権票は信任票と判断する』といった一文をあらかじめ公示しておくことで、万一参加が得られない場合にもトラブルなく手続きを完了することができます。」
(2) 未払い残業代の精算
早柏氏は、三つの会社で五回、未払い残業代の精算をご経験されたそうです。それほど多くの企業で問題になりがちです。ところが、「本来収入すべき時」の所得として計算しなおすと、年末調整のやり直し・住民税の再計算等膨大な作業が発生してしまいます。
「過去二年間の未払い分を金利も含めて賞与に特別加算し、支払い月の発生としました。こうすることで、過去の税金対応・社会保険対応はなくなります。ただし、従業員に対応内容をきちんと説明し、『過去の未払い分についてはこれで不問にする』という一筆をとっておくことも同時に重要です。」
運用面を考慮した対処法を採りながらリスクを回避した事例として参考になります。
(4) 労働時間管理
管理職は時間管理外というのが一般的ですが、2000年の電通事件以降、健康管理という観点から、管理職の時間管理が求められています。しかし問題の本質が健康管理であるならば、管理職の時間外手当、管理職の位置づけといった議論をしなくても、健康状態について異常のあり・なしについて、毎月の出勤簿に記入するルールをつくればよいはずです。
問題の解釈と対応策の論理にまちがいがなければ問題ありません。
例えば、管理職の深夜勤務手当についても、実態として深夜勤務が役職手当に比べ過少な場合には、役職手当に深夜割増賃金を含めるとしても違法にはなりません。
(10) 衛生委員会の運営
常時50名以上が勤める事業所には、衛生委員会の設置と月一回以上の開催が求められます。
必ずしも人事の仕事ではありませんが、職場環境改善・健康維持のために最大限活用すべきと早柏氏は言います。「残業の現状、新型インフルエンザ対策、社内クラブ活動、夏期休暇取得促進など、堅苦しく考えず広くテーマを定めることで議論は活性化し、情報収集につながります。」またテクモ(株)では産業医を内科から精神科医に変更し、メンタルヘルス対策にも取り組んでいるそう。衛生委員を通じて社内広報をおこなうことで社内の啓蒙にもつなげています。
人事におけるコンプライアンスでは、知らないことを免罪符にさせないよう、運用内容を社内広報しておくことがとても大切です。
テクモ(株)では、社内広報の一環として、「How To Tecmo」と題した漫画を作成し、イントラネット上で公開しています。就業規則や、服装マナー、休日申請の手続き方法など、社内のCGデザイナーが漫画にして説明しています。文字は読まなくても漫画であれば見てくれる、ゲーム会社らしい工夫です。
2009年4月の株式会社コーエーとの経営統合により、管理部門はコーエーテクモホールディングスに移管されることになりました。「次回は、異文化会社の人事統合というテーマで事例発表できるようにしたい。」と今後の抱負を語ってくださいました。
■テクモ株式会社 会社概要
・設立 : 1967年7月
・事業内容: 家庭用コンピューター・ゲームソフトの企画・開発・研究及び販売 など
・連結売上高: 119億円(2008年12月期)
・従業員数: 335名
■参加者の声
・労働時間や時間外手当等のケースは自社の規程を見直す際のヒントとなりました。
・衛生委員会の運営について、当社も毎月開催してはいますが、正直定例報告のみであまり活気のない会議になっていますので、本日のお話を参考にさせて頂きます。
・従業員代表の選出、半休の考え方など今まで持っていなかった知識を教えていただき、大変参考になりました。また早柏さんの人事マンとしての考え方にもとても共感しました。
・普段は採用業務のみ携わっており社内人事について知ることがないのですが、労使の“使”の立場というものを実感させていただきました。採用でも法的な部分について考えないといけない場面が多々あるので本日学んだ内容を活かしていこうと思います。
■ 事務局のつぶやき
- 人事プロデューサークラブのHPをリニューアルしました。 宜しくお願いします! http://www.jpclub.jp/ JPCLUBjp twitter
- 昨日の人事の学校にご参加下さった皆様、お疲れ様でした。 引き続き、会員交流委員会主催のボーリング大会の参加者を絶賛募集中です。 興味のある方は、是非ご連絡下さい。 非会員(経営者・人事担当者限定)の方も、是非ご参加ください。 info@tobeg.co.jp JPCLUBjp twitter
- 8月27日(金) 20:00~ 会員交流委員会主催で、ボーリング大会を開催いたします。 会員の方を中心としていますが、非会員の方の参加も大歓迎です。 興味のある方は、是非ご連絡下さい。 info@tobeg.co.jp JPCLUBjp twitter
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