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2009年7月21日開催 株式会社サイバーエージェント 成長し続けるための『挑戦と安心』の人事施策

2009年8月19日 [人事プロデューサークラブ運営事務局]


事例研究会 第四回は、株式会社サイバーエージェント 人事本部 マネージャー 武井亮氏にご発表いただきました。

同社は、国内最大のインターネット広告代理事業、5,000名近くの芸能人が使用する「アメーバブログ」を中心としたインターネットメディア事業を展開する、インターネット総合企業です。「21世紀を代表する会社を創る」という同社のビジョンが示すように、ベンチャー企業の牽引役として1998年の設立時から常に成長を続けてきました。

また日本における「働きがいのある会社」ベスト25に選定されるなど、同社の若手人材の活用、互いを褒め合い高めあう活発な風土は高く評価されています。

例えば、新卒10年目までほぼすべての代にグループ会社の役員がいます。また、創業時から続く「トピックスメール」という習慣は、上司が部下の活躍をたたえるメールを部署全体のメーリングリストに配信するというもので、月末には300通近くのメールが配信されるといいます。多くの返信とお礼が飛び交う組織を制度というよりも文化として醸成しているところに同社の強さを感じます。

さて、本格的に人事強化に取り組み始めたのは、ITバブル崩壊を受け退職率が30%にまで高まった2003年のこと。ビジョンや価値観は社内に浸透しておらず、社員同士のつながりも希薄、個々の社員がどのようなキャリアを望んでいるのかわからず、人材の流出をとめられない状況だったそうです。人事強化決定時の基本方針は、「役員や人事の一人よがりではなく、現場の声を反映させる仕組みづくり」でした。

選抜された10名の社員と役員で構成される「バージョンアップ委員会」を設置し、社内活性化のためにどうすればよいか議論を重ねます。現場の声を吸い上げるとともに、人事制度づくりに現場を巻き込むことが狙いです。

2005年には、経営とメンバーをつなぐ「コミュニケーション・エンジン」をコンセプトに、人事本部が設立され、新たに定められたマキシムズ(行動規範)を軸に、一連の人事強化施策を展開し、現在ではグループ全体で10%程度に抑えるなど成果をあげています。

参考:株式会社サイバーエージェント マキシムズ(FlashE-book版)

人事制度設計のポイントは「挑戦」と「安心」の両面でとらえられます。ベンチャー企業としてあくまで求める「挑戦」と長く働くための「安心」。それらのポイントは「前のめり人材」を増やし、発掘することを目的としてつくられています。しかし、どのような施策も現場に浸透しないと意味がありません。
「一方的に経営・人事の意向を押し付けるのではなく、おのずと現場に『流行る』制度をつくることが大切。いつも現場は白けないか? と自問している。」と武井氏は言います。ネーミングや制度告知ポスターなどにも趣向が凝らされています。

「挑戦」の施策事例
■新規事業プランコンテスト「ジギョつく」
新規事業を提案し、優勝すれば事業責任者・子会社社長に抜擢される制度。年間約150応募があり、新卒2年目、内定者が優勝した例もあるという。この制度を通じて若手社員に責任ある仕事を任せる機会をつくっている。

■FA制度「キャリチャレ」
上司には知られることなく、異動希望を申請できる制度。活躍している人材だけが利用できる。年間で30名程度の優秀人材がこの制度によって新たなキャリアへとステップアップしている。

■役員交代制度「CA8」
八人の役員陣のうち2年に一度、2人が入れ替わる制度。マネージャー・リーダー層育成のため、経営陣みずからが「変化の模範」となっている。


「安心」の施策事例

■家賃補助制度「2駅ルール」
各オフィスの最寄駅から各線二駅県内に住んでいる正社員に対し、月3万円の家賃補助を支給する制度。社員の7割が活用しており、通勤の負担軽減だけでなく、自宅の近い社員同士の交流が深まり、社内活性化にもつながっている。

■特別休暇制度「休んでファイブ、休んで1ヵ月」
2年勤続するごとに5日間、5年勤続で1ヶ月間分の特別休暇が取得できる制度。結婚や出産など変化の多い五年目以降の社員の定着率向上を狙っている。

■女性キャリア支援「L-Cafe」
同社の男女比はほぼ半々。女性幹部7名と人事担当役員で、女性にとって働きやすい環境づくりのための議論を重ねている。婦人科検診の費用負担や育児社員の意見交換会の開催など、制度づくりにつながっている。

「人事本部の取り組みは第二フェーズに向かっています。コミュニケーション・エンジンとして現場と経営をつなぐ役割は従来通り担いながら、社内の『勝ちパターン』を経営陣・幹部社員・現場社員など階層ごとに発掘し、横に広げていくことで組織全体のパフォーマンスを高める、パフォーマンス・エンジンとして機能を担いたいと考えています。」
と今後の展望を語っていただきました。

発表後にはオフィス見学ツアーを実施。トイレの鏡に写りこむミッションステートメント、マッサージルーム、役員室など隅々まで見せていただきました。
今回の事例研究会では、成長し続ける同社のスピリット体感することができ、自社のさらなる成長につながるヒントをたくさん持ち帰っていただけたのではないでしょうか。

株式会社サイバーエージェント 会社概要
・設立  :  1998年3月
・事業内容:
 1. インターネット広告代理事業
 2. インターネットメディア事業
 3. 投資育成事業
・連結売上高:
 601億円(2006年9月期)
 760億円(2007年9月期)
 870億円(2008年9月期)
・役職員数:  2,036名(2009年3月末・連結)

■参加者の声
・様々な人事施策をご説明いただき、自社での実現可能性を想定しながらお話を聞いておりました。発想や内容は非常に参考になりました。

・かつてのリクルートの取り組みや風土を彷彿とさせていただける内容で、大変興味深く拝聴しました。ネーミングの妙は確かに大切ですね。

・組織活性施策のバラエティの豊富さに圧巻です。同時に、経営の強いコミットメントの重要性を課題として改めて認識しました。

・社内見学までさせていただき、若い方が多くて活気のある社内だと思いました。制度だけでなく文化をぜひ参考にさせていただきたいと思いました。社内のモチベーション向上は、当社の課題のひとつだと感じています。

■ 事務局のつぶやき