2009年5月26日開催 株式会社コスモスイニシア「成果型・複線型人事制度の運用と改善」
2009年6月4日 [人事プロデューサークラブ運営事務局]
事例研究会 第二回は、「成果型・複線型人事制度の運用と改善」と題し、株式会社コスモスイニシア 総務人事グループ エグゼクティブマネージャー 東田 一人 氏にお話いただきました。
東田氏は株式会社リクルートにて一貫して人事・採用を担当し、リクルートの企業風土、文化の礎を築いてこられました。リクルートのグループ会社として設立された、株式会社コスモスイニシア(旧リクルートコスモス)へ転籍後も、「最もリクルートらしい会社」と称される風土(社員皆経営者主義、出る杭は伸びる・・)を維持し、同社の急成長を支えておられます。

成長期には、個人の成長=昇進・昇格という右肩上がりのキャリアプランを描くことができます。「社員全員にゼネラリストへと成長することを求める、単線型の組織づくりには『社員皆経営者主義』への強いこだわりが根底にあった」と東田氏は振り返ります。
しかし、バブル後に低成長期を迎えると、ポストが不足し始めす。上位職級はポストがないままダブつき、可能性を見い出せない若年層が退職を考えるようになる、という状態です。
そこで導入されたのが、今回のテーマである「複線型人事キャリア制度」です。これまで単線だったキャリアが、大きく三つに分類されます。
1.レギュラー職群 ・・・ 社歴を重ねることで社員の価値観は多様化していきます。育児や介護が必要な社員などでも安心して働ける「ワークライフバランス」を意識した、キャリアを描くことができます。
2.マスター職群 ・・・ ポストの不足により若手社員が実績をあげても格付けが上がらない、という問題を解決するために用意されたキャリアです。年齢によらず業績・実績で格付けされ、給与(年俸制)が決まります。メンバーを持たずに、自身の専門性を高めていくことが求められます。
3.マネージメント職群 ・・・ 組織管理を担う、従来型のキャリアプランです。大きく変動しない安定性の高いキャリアです。考課にも工夫を凝らし、それまで「成果9割」だった考課を「成果6割、コンピテンシー4割」とすることで、マネージメント職にコーチング風土の醸成を図ります。

人事制度はつくって終わりというものではなく、運用フェーズに入るとそれまで予期しなかった問題が見えてくるものです。マスター職の導入によって若手でも実力があれば高い給与を得ることができるようになり、ねらい通り組織にメリハリが生まれるなど成功した部分がある一方、新たな課題がうまれます。
ひとつには、従来の「皆経営者主義」が根強く残る社内にはマスター職に対する明確なロールモデルがありません。結果的にマネージメント・ポストを得られなかったベテラン層がマスター職を不満と感じ退職を選択する、というルートができてしまいました。
もうひとつには、考課においてコンピテンシー評価が根付かず、依然として成果を重視する傾向が残ってしまいました。一度作った人事制度が、運用フェーズで試行錯誤し改変するうちに、当初思い描いていたものとまったく違う姿になってしまった・・・皆様にも一度はご経験のあることではないでしょうか。

「若年層の不満の高まりに対する『人事部の焦り』からスタートしたところがあり、会社の全体像がみえてなかった。組織を変えるには、ビジョン・ミッション、業務プロセスといった全体を、社員全員で見つめ直す必要があった。」
組織改定のセカンドステージが始まります。
「この会社のビジョン・ミッションは何か」
「私は何故この会社に入って、何故この会社で働いているのか」
について、三カ月にわたり議論を重ね、次に、階層別にミッションをつくり役割を明確化していきます。
階層別のミッションの明確化では、支社長・部長・課長・マスターマネージャーの役割について「重要度」および「実態」を階層ごとにアンケート調査し、整理していくという手法をとっています。
以上のような過程を経て、人事部では現在あらためて人事制度の改革に取り組まれています。
このプロジェクトを経て、東田氏がたどり着いた人事の心得とは ――
・やってみることを恐れない(運用して初めて見えてくる)
・非は認める(特に人事として)
・迅速に対応する
・自分たちの文化を「白黒はっきりつける」(進化のために何を残し、何を捨てるか)

人事に正解はないとよく言われます。制度をつくるだけでなく、運用フェーズでしっかりとPDCAサイクルを回し、時間をかけて組織をつくること。質疑応答の時間には、まさに人事制度を更新中の皆様からたくさんの質問がよせられ、充実した時間となりました。懇親会も大いに盛り上がりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
■株式会社コスモスイニシア 会社概要
・事業内容: 不動産の販売・仲介・賃貸事業
・設立 :1969年6月20日
・資本金:119億64百万円(2008年3月31日現在)
・売上高:連結1944億円(2008年3月期)
・従業員数:3,245人(連結) 640人(単独)
・平均年齢:37.0歳
■参加者の声
・人事制度導入にあたってのヒント、運用段階での実例を教えていただき、改めて“実現する力”ということを認識させていただきました。
・複線型人事制度の問題点がよくわかりました。若手のモチベーションの向上と中高年層の処遇の両立の難しさを感じるとともに、ひとつのヒントを頂きました。
・テクニカルな話だけでなく、企業の肉声を聞くことができました。うまくいかなかった事例とあらたな取り組みの方針を聞け、非常に納得感がありました。
・人事ポリシーの大切さや、単に考課制度を導入するのではなくしっかりビジョンから紐付けて考課制度を考えることが重要だと改めて理解しました。
■ 事務局のつぶやき
- 人事プロデューサークラブのHPをリニューアルしました。 宜しくお願いします! http://www.jpclub.jp/ JPCLUBjp twitter
- 昨日の人事の学校にご参加下さった皆様、お疲れ様でした。 引き続き、会員交流委員会主催のボーリング大会の参加者を絶賛募集中です。 興味のある方は、是非ご連絡下さい。 非会員(経営者・人事担当者限定)の方も、是非ご参加ください。 info@tobeg.co.jp JPCLUBjp twitter
- 8月27日(金) 20:00~ 会員交流委員会主催で、ボーリング大会を開催いたします。 会員の方を中心としていますが、非会員の方の参加も大歓迎です。 興味のある方は、是非ご連絡下さい。 info@tobeg.co.jp JPCLUBjp twitter
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